話し合いで決まった内容は、口約束で終わらせず、示談書・合意書で明確にしておくことが大切です
損害賠償、慰謝料、貸金、未払い金、契約トラブル、親族間・男女間トラブルなどで合意できた場合でも、書面に残していないと、後から「言った、言わない」の争いになることがあります。プロスペクト法律事務所では、千葉県弁護士会所属の弁護士坂口靖が、合意内容を確認し、事案に応じた示談書・合意書の作成をサポートします。
このページで知ってほしいこと
示談書・合意書を作成するときは、「誰が、誰に、何を、いつまでに行うのか」「支払金額や期限は明確か」「分割払いが遅れた場合はどうするか」「今後追加請求をしない内容になっているか」などを慎重に確認する必要があります。話し合いで解決できそうなときほど、口約束で終わらせず、合意内容を正確に書面化することが大切です。また、支払いの確実性を高めたい場合には、公正証書、民事調停、訴え提起前の和解などを検討すべき場面もあります。
示談書・合意書とは
示談書・合意書とは、当事者同士で話し合って決めた内容を、後から確認できるように書面にしたものです。損害賠償、慰謝料、貸金、未払い金、契約解除、返金、私物の返還、親族間や男女間の金銭問題など、さまざまな民事トラブルで作成されることがあります。
書面のタイトルは、「示談書」「合意書」「和解書」「覚書」などさまざまです。大切なのはタイトルそのものではなく、合意内容が明確で、後から見ても当事者の意思や義務の内容が分かることです。
示談書や合意書は、内容によっては民法上の和解契約として整理されることがあります。和解は、当事者が互いに譲歩して争いをやめることを約束するものです。そのため、どこまでを解決し、どこまで請求を残すのかを慎重に整理する必要があります。
民事事件全体の相談内容を確認したい方は、千葉で民事事件・損害賠償を弁護士に相談したい方へのページもご覧ください。プロスペクト法律事務所の全体案内は、トップページからもご確認いただけます。
示談書・合意書を作成した方がよい場面
話し合いで解決できそうな場合でも、合意内容があいまいなままだと、後から再びトラブルになることがあります。特に、お金の支払い、分割払い、今後の請求、連絡方法、秘密保持などが関係する場合は、書面化を検討した方がよいことがあります。
貸金・未払い金の分割払い
貸金や未払い金について、相手方が一括で支払えない場合、分割払いの合意をすることがあります。支払日、支払額、遅れた場合の扱いを明確にすることが重要です。
請求された側で減額・分割払いに応じる
相手方から請求を受け、一定額を支払うことで解決する場合、何を認め、何を清算するのかを慎重に整理する必要があります。安易な書面作成は避けるべき場合があります。
示談書・合意書で特に確認すべき内容
示談書・合意書は、ただ「解決しました」と書けばよいものではありません。後から争いにならないように、当事者、対象となるトラブル、支払内容、期限、清算範囲などを具体的に整理する必要があります。
当事者を正確に記載する
誰と誰の間の合意なのかを明確にします。個人名、住所、会社名、代表者名など、事案に応じて正確に記載する必要があります。会社や事業者が関係する場合は、契約当事者が誰なのかを確認することが大切です。
どのトラブルについての合意かを明確にする
何について解決する書面なのかがあいまいだと、後から別の請求が残っていると主張されることがあります。損害賠償、慰謝料、貸金、契約解除、未払い金など、対象となるトラブルを整理します。
支払金額・期限・方法を具体的に書く
金銭の支払いがある場合は、金額、支払期限、振込先、振込手数料の負担、分割払いの回数や各回の支払額を明確にします。「できるだけ早く支払う」「後日相談する」といった表現は、後から争いになりやすい場合があります。
分割払いが遅れた場合の扱いを決める
分割払いにする場合は、支払いが遅れたときにどうなるかを検討する必要があります。残額を一括で請求できるようにするのか、一定期間の猶予を置くのか、遅延損害金をどうするのかなど、事案に応じて整理します。
分割払いは、支払う側にとって「各期限までは支払を待ってもらえる」という利益があります。そのため、遅れた場合に残額を一括で請求したいのであれば、期限の利益を失う条件を具体的に定めておく必要があります。
遅延損害金・違約金をどうするか
支払いが遅れた場合に遅延損害金や違約金を定めるかどうかも、事案に応じて検討します。ただし、金額や利率を不当に高く設定すると、後から問題になる場合があります。相手方が応じやすい内容か、合意として無理がないかを確認することが大切です。
清算条項を確認する
清算条項とは、合意書に定めた内容以外には、当事者間に債権債務がないことを確認する条項です。後日の追加請求を防ぐ意味がありますが、入れ方を誤ると、本来残しておきたい請求まで失うおそれがあります。
たとえば、金銭の支払いだけを合意したいのか、慰謝料、返金、私物返還、秘密保持、今後の連絡方法まで含めてすべて清算したいのかによって、条項の書き方は変わります。清算条項は便利な一方で、非常に重要な条項です。
秘密保持・口外禁止・連絡方法を検討する
男女間トラブル、親族間トラブル、事業上のトラブルなどでは、合意内容やトラブルの内容を第三者に話さない、SNSに投稿しない、今後の連絡方法を限定するなどの条項を検討する場合があります。ただし、内容や範囲は慎重に決める必要があります。
示談書・合意書を作る前に準備しておきたい資料
示談書・合意書を作成するには、合意内容だけでなく、トラブルの経緯や証拠も確認する必要があります。相手方との話し合いで決まった内容が法的に問題ないか、後から争いになりにくいかを確認するためです。
- 相手方とのLINE、メール、SMS、SNSなどのやり取り
- 契約書、借用書、請求書、領収書、見積書
- 振込履歴、通帳、送金記録、支払記録
- 相手から届いた請求書、通知書、内容証明
- すでに作成した示談書案、合意書案、覚書案
- 支払金額、支払期限、分割払いの希望をまとめたメモ
- 秘密保持、口外禁止、連絡方法などで希望する内容のメモ
- トラブルの経緯を時系列でまとめたメモ
- 今後相手方に求めたいこと、避けたいことのメモ
証拠の集め方に不安がある方は、証拠をどう集めればよいか不安な方へのページも参考にしてください。相手に正式な請求や通知をしたい場合は、内容証明を送りたい方へのページもご確認ください。
示談書・合意書作成の進め方
示談書・合意書は、話し合いで決まった内容をそのまま書くだけでは不十分な場合があります。何を解決し、何を残すのか、支払いが遅れた場合はどうするのか、今後の追加請求をどう扱うのかを整理する必要があります。
トラブルの内容と合意の目的を整理する
損害賠償、慰謝料、貸金、契約解除、未払い金、親族間・男女間トラブルなど、どの問題を解決する書面なのかを確認します。合意の目的があいまいだと、書面の内容も不明確になります。
合意済みの内容と未確定の内容を分ける
すでに決まっていることと、まだ決まっていないことを分けて整理します。支払金額、期限、分割払い、私物返還、今後の連絡方法など、未確定の点がある場合は、書面作成前に詰める必要があります。
必要な条項を検討する
支払条項、分割払い、期限の利益喪失、遅延損害金、清算条項、秘密保持、口外禁止、接触方法、違反時の扱いなど、事案に応じて必要な条項を検討します。
私的な合意書で足りるかを確認する
当事者間の合意書で足りる場合もありますが、相手方が支払いを怠る可能性が高い場合や、分割払いが長期にわたる場合には、公正証書、民事調停、訴え提起前の和解などを検討した方がよい場合があります。
相手方に提示する文案を作る
相手方に提示する場合、強すぎる文面や一方的な内容になっていないかを確認します。相手方が応じやすい形にすることが、早期解決につながる場合もあります。
署名・押印・保管方法を確認する
合意内容が固まったら、当事者が署名・押印し、双方が保管できる形にします。電子データでやり取りする場合でも、後から真正性や内容が争われないように注意が必要です。
示談書・合意書で注意したいこと
テンプレートをそのまま使うのは危険な場合があります
インターネット上のテンプレートは便利に見えますが、自分の事案に必要な条項が入っていなかったり、逆に不要な条項が入っていたりすることがあります。特に清算条項、分割払い、秘密保持、今後の連絡方法は、事案に応じて慎重に調整する必要があります。
清算条項の入れ方に注意する
清算条項を入れると、合意書に書かれた内容以外の請求をしないという意味になる場合があります。紛争を終わらせるうえで重要な条項ですが、まだ請求を残したい内容がある場合は、安易に入れるべきではないことがあります。
分割払いは、遅れた場合の扱いまで決める
分割払いの約束をしても、途中で支払いが止まることがあります。毎月の支払額、支払日、振込先、遅れた場合の扱い、残額の一括請求の可否などを明確にしておくことが大切です。
相手方に不利すぎる内容は、合意が難しくなることがあります
自分に有利な内容を入れたいという気持ちは自然ですが、一方的すぎる文案は、相手方が応じず、かえって交渉が長引くことがあります。合意書は、紛争を終わらせるための書面であることを意識する必要があります。
署名する前に、意味を確認する
相手方から示談書や合意書を提示された場合、署名する前に内容を確認することが重要です。一度署名すると、後から「意味が分からなかった」と争うことが難しくなる場合があります。請求された側の対応については、請求された側の対応のページもご確認ください。
公正証書・民事調停・訴え提起前の和解を検討する場合
当事者間の示談書・合意書だけでなく、事案によっては、公正証書、民事調停、訴え提起前の和解などを検討することがあります。どの方法が適しているかは、合意の有無、相手方の対応、強制執行の可能性を見据えるかどうかなどによって異なります。
公正証書
金銭の支払いについて合意があり、相手方が支払いを怠った場合に備えたいときは、公正証書を検討することがあります。強制執行認諾文言を入れた公正証書にできる場合には、改めて訴訟を起こさずに強制執行を検討できることがあります。
ただし、公正証書にすればどのような内容でも直ちに強制執行できるわけではありません。金銭支払い以外の内容や、相手方が公正証書作成に協力しない場合など、事案によって限界があります。
民事調停
民事調停は、裁判所で話し合いによる解決を目指す手続です。相手方との直接交渉が難しい場合や、第三者を交えて合意を目指したい場合に検討することがあります。調停で合意が成立し、調停調書に記載されると、私的な合意書より強い効力を持つ場合があります。
訴え提起前の和解
当事者間に合意がある場合、簡易裁判所で訴え提起前の和解を検討することがあります。合意内容が和解調書に記載されることで、確定判決と同一の効力を持つ形にできる場合があります。
もっとも、訴え提起前の和解は、当事者間に合意があることが前提です。相手方が合意していない段階や、内容に大きな争いがある段階では、交渉、民事調停、民事訴訟など別の方法を検討する必要があります。
民事訴訟中の和解
すでに民事訴訟になっている場合でも、訴訟の途中で和解により解決することがあります。裁判を起こすか迷っている方は、民事訴訟を起こしたい方へのページもご覧ください。
千葉で示談書・合意書の作成を弁護士坂口靖に相談する意味
示談書・合意書は、トラブルを終わらせるための重要な書面です。しかし、内容があいまいだったり、必要な条項が抜けていたりすると、後から追加請求、支払遅延、秘密保持違反、連絡方法のトラブルなどが起こる可能性があります。
特に、清算条項、分割払い、期限の利益喪失、遅延損害金、秘密保持、口外禁止、今後の連絡方法、公正証書や訴え提起前の和解を利用するかどうかは、事案に応じて慎重に検討する必要があります。
プロスペクト法律事務所では、千葉県弁護士会所属の弁護士坂口靖が、民事事件、損害賠償、慰謝料、契約トラブル、貸金回収、親族間・男女間トラブルなどのご相談に対応しています。ご相談内容を伺い、事案に応じて、示談書・合意書に入れるべき内容や注意点を分かりやすくご説明します。
弁護士坂口靖の経歴や対応方針については、弁護士紹介をご確認ください。費用が不安な方は、弁護士費用のページもあわせてご覧ください。
合意できそうなときほど、書面の内容を慎重に確認しましょう
「相手と話がまとまりそう」「分割払いの約束をしたい」「示談書案を確認してほしい」「相手から合意書を提示された」「公正証書や即決和解を検討したい」という段階でも、ご相談ください。署名する前、相手に提示する前に内容を確認することで、後日のトラブルを防ぎやすくなります。
お問い合わせフォームへ示談書・合意書の作成に関するよくある質問
Q. 示談書と合意書は違いますか?
A. タイトルの使い方は事案によって異なります。一般には、トラブルについて話し合いで解決した内容を示談書、より広く当事者間の合意内容を合意書と呼ぶことがあります。大切なのは名称ではなく、誰が何を約束したのかが明確に書かれていることです。
Q. 口約束だけではだめですか?
A. 口約束だけでも合意が成立する場合はありますが、後から内容を証明することが難しくなることがあります。支払金額、期限、分割払い、今後の請求をしないことなどは、書面に残しておいた方がよい場合があります。
Q. 相手が分割払いを希望しています。合意書に何を書けばよいですか?
A. 各回の支払額、支払日、振込先、振込手数料、支払いが遅れた場合の扱い、残額を一括で請求できるかなどを検討する必要があります。あいまいな分割払いの約束は、後日のトラブルにつながる場合があります。
Q. 清算条項は必ず入れた方がよいですか?
A. 清算条項は、合意書に定めた内容以外には当事者間に債権債務がないことを確認する条項です。紛争を終わらせる意味では重要ですが、まだ残したい請求がある場合には注意が必要です。事案に応じて入れるべきか検討します。
Q. インターネットのテンプレートを使ってもよいですか?
A. 参考にすることはできますが、そのまま使うのは危険な場合があります。自分の事案に必要な条項が抜けていたり、不要な条項によって不利になる可能性があります。署名前や相手への提示前に確認した方がよい場合があります。
Q. 相手から示談書案を渡されました。署名してもよいですか?
A. 署名する前に内容を確認することが大切です。支払義務、清算条項、秘密保持、今後の請求制限などが入っている場合、一度署名すると後から争いにくくなることがあります。不安がある場合は、署名前に相談してください。
Q. 示談書・合意書を作れば必ず相手が支払ってくれますか?
A. 必ず支払われるとは限りません。書面にすることで合意内容を明確にできますが、相手方が支払いを怠る可能性はあります。そのため、分割払いが遅れた場合の扱いなども含めて検討することが大切です。
Q. 公正証書にした方がよい場合はありますか?
A. 金銭の支払いについて合意があり、相手方が支払いを怠った場合に備えたいときは、公正証書を検討することがあります。ただし、公正証書にすればすべての内容について直ちに強制執行できるわけではないため、事案に応じて確認が必要です。
Q. 訴え提起前の和解とは何ですか?
A. 当事者間に合意がある場合に、簡易裁判所で和解調書を作成する手続です。合意内容が和解調書に記載されると、確定判決と同一の効力を持つ場合があります。ただし、利用できるかどうかは事案によって異なります。
Q. 親族間や男女間の合意も書面にした方がよいですか?
A. 後日の誤解を防ぐため、書面化を検討した方がよい場合があります。親しい関係ほど、口約束やあいまいな合意で済ませてしまい、後から大きなトラブルになることがあります。


