相続の話し合いを始める前に、相続人・財産・遺言・期限を確認します
遺産分割が進まない場合でも、すぐに調停を申し立てるとは限りません。まず見るのは、相続人の範囲、遺言書、財産と負債、これまでの話し合いです。遺留分や相続放棄が関係するときは、期限の確認を先にします。
最初に確認する資料
相続では、親族関係の認識が違っていたり、財産の全体像が分からなかったりすることがあります。話し合いを続ける前に、次の資料を確認します。
- 被相続人と相続人の戸籍
- 遺言書、遺産分割協議書、相続人間のやり取り
- 預貯金、不動産、株式、保険などの資料
- 借入れ、保証債務、未払金などの資料
- 生前贈与や介護の負担が分かる記録
- 死亡日と、相続の開始を知った時期
すべてそろっていなくても相談できます。今ある資料から、不足しているものと先に調べるべき点を分けます。
遺産分割の話し合いが進まないとき
遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。不動産を誰が取得するか、預貯金をどう分けるか、生前贈与や介護の負担をどう扱うかで止まることがあります。
当事者同士のやり取りが感情的になっている場合は、先に財産と主張を分けて書面にした方がよいことがあります。何を争っているのかが曖昧なまま話し合っても、同じやり取りが続くためです。
協議で決まらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を考えます。調停でも合意できないときは、裁判所が審判で分け方を判断することがあります。
遺留分を請求したい、請求を受けたとき
遺言や生前贈与の内容に納得できないというだけで、直ちに遺留分の請求が認められるわけではありません。誰に遺留分があるか、どの財産を計算の基礎にするか、いつ内容を知ったかを確認します。
遺留分侵害額請求には期間の制限があります。遺言書を見た日や通知を受けた日が分かる資料は残してください。請求を受けた側も、相手の計算額をそのまま受け入れる前に、財産評価と生前贈与の扱いを確認します。
相続放棄を考えているとき
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から、原則として3か月以内に家庭裁判所へ申述します。財産や負債を調べても判断できないときは、期間を延ばす申立てを考えることがあります。
相続放棄を考えている段階で、預貯金を使ったり遺産を処分したりすると、放棄できるかどうかに影響することがあります。期限だけでなく、すでに何をしたかも確認します。
3か月を過ぎているように見えても、それだけで結論を決めません。相続の開始をいつ知ったか、負債をいつ知ったか、遺産を処分していないかを確認したうえで判断します。
弁護士に相談して確認できること
相続人と財産
戸籍と財産資料から、話し合いに参加する人と対象財産を確認します。
協議・調停
直接交渉を続けるか、代理人を立てるか、調停へ進むかを考えます。
遺留分
請求できる可能性、相手方、財産評価、期間制限を資料から確認します。
相続放棄
期限、負債、遺産の処分状況を見て、申述や期間伸長を検討します。
相談できる分野を一覧で確認したい方は、取扱分野一覧もご覧ください。費用は手続と争点によって変わるため、弁護士費用のページもあわせてご確認ください。
できることと、難しいこと
弁護士ができるのは、相続人、財産、主張を確認し、交渉や裁判所の手続を進めることです。相手方がこちらの提案に応じることや、希望どおりの分け方になることを保証することはできません。
財産の所在が分からない、生前の出金記録が残っていない、不動産の評価が分かれるといった事情があると、調査や手続に時間がかかります。費用との釣り合いも、争う財産と進める手続を見て判断します。
相談前にまとめておくこと
相続人の名前、分かっている財産と負債、遺言書の有無、これまでの話し合い、期限が分かる通知をまとめてください。資料が足りない場合は、相談後に追加で確認するものをお伝えします。
プロスペクト法律事務所の全体案内は、トップページからご覧いただけます。
遺産分割・遺留分・相続放棄のよくある質問
遺産分割の話し合いを弁護士に任せられますか。
相続人と財産を確認したうえで、相手方との交渉を代理することができます。協議で決まらなければ、家庭裁判所の調停を検討します。
遺言書があれば、その内容どおりに決まりますか。
遺言の方式や内容、遺留分、生前贈与などが問題になることがあります。遺言書だけでなく、財産資料と相続関係も確認します。
相続放棄の3か月が近いのですが、財産が分かりません。
分かっている財産と負債、調査状況を確認します。熟慮期間内に判断できないときは、家庭裁判所への期間伸長の申立てを考えることがあります。
兄弟姉妹と直接話したくありません。
直接のやり取りを続けず、弁護士を窓口にする方法があります。ただし、相手方が提案に応じないときは、調停などの手続が必要になります。
相続税や相続登記も相談できますか。
相続人間の争い、遺産分割、遺留分、相続放棄は弁護士が確認します。相続税や相続登記は、内容に応じて税理士や司法書士との連携が必要になることがあります。


